イージーラブじゃ愛せない


抱きしめられて顔を見られなくなって済んだ事で安心したのか、涙がポロポロ出てきた。うわ。私ってこんなに泣く女だったっけ?

そして泣き声と共に、言いたかった言葉も面白いほどポロポロと零れていった。


「やだ。私以外の女に優しくしたら嫌だ。もっと甘やかしてよ。私ワガママなんだから。もっと優しくして。いつも側に居て。いっぱい抱いてあっためて。ジョージじゃなきゃやだ。もう他の男に抱かれんのもやだ。ジョージがいい」


我ながら暑苦しいと思いながらも、ジョージの背中に腕を回して強く掴んだ。ずっと変わらないシトラスの匂いがする。あー私、これ好きだなあなんて改めて思ったり。


「福井行っちゃやだ。側に居て。ジョージがいなきゃ私、美味しいご飯食べらんない。もう他の男とセックスだって出来ない。冬になってあっためてくれる人もいない。どうすんのよ、お腹すいて欲求不満になって寒くて死んじゃったら。私を殺す気?」


言ったって仕方ない事どころか難癖レベルにまで達してしまった。

本当に何もかもぶっちゃけちゃったなーなんて思いながらグスグスと鼻を啜りあげる。そして最後に。


「好き。好き。好き。友達じゃやだ。イージーラブもやだ。私のこともっと好きになって。大切にして。甘やかして。側に居てよ、これからもずっと」


心の中、一言も残らずみごと全部ぶっちゃけて、抱きしめられていた胸の中から顔を上げた。
 
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