イージーラブじゃ愛せない


綺麗サッパリ吐き出した心の中はたいそうスッキリしたけれど、その代わり空いた所に別の不安が押し寄せてくる。


遠慮なく泣いてしまった私の顔は恐らく綺麗とは言い難いだろう。そんな私の顔を、ジョージは似合わない真面目な表情でジッと見ている。そして。


「柴木ちゃん」


そう呼びかけられた瞬間、私の心が後悔一色で染まった。


だって。ジョージならきっと『胡桃』って呼ぶと思った。こんだけ気持ちぶっちゃけた後なら、受けとめてくれたなら『胡桃』って。

なのに。線を引かれた。『柴木ちゃん』て。『友達』だって。


――――受けとめてもらえなかった。


ジョージの背中を掴んでいた手から力が抜けていく。


引かれたんだ。あんまりにも馬鹿正直に伝えたから。言ってもどうしようもない事なのに、今更駄々捏ねたりしたから。


……ああ。
だから止めておけば良かったのに。

もうダメだ、こんなの。もう親友にさえ戻れない。私みっともない。最悪だ。
 
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