イージーラブじゃ愛せない
そして、俺と胡桃が入籍してから1年後。
オープニングで忙しかった俺の仕事がやっと落ち着いてきたのと、胡桃が同じ県内の別店舗に移動になり、ようやく一緒に暮らせ始めたのもあって、俺たちは遅い結婚式を挙げる事にした。
ただし、招待客はなし。
ハワイに行ってふたりだけで挙式する予定。
実はさ、最初は胡桃ちょっと渋ってたんだよね。式挙げるの。
「私、ドレスなんて似合わないし」
なんてぼやいてたけど、本音がそうじゃない事は簡単に分かった。
「じゃあ俺にだけドレス姿見せてよ。ふたりだけで式しよ。他に誰も呼ばなくていいよ。親戚も家族も」
そんな提案をすると、胡桃の強がっていた表情は泣き出しそうな無防備なものに変わり、無言のまま俺の胸に顔を埋ずめた。
優吾とりんりんを式に呼べないのは残念だけどさ、その代わりムービーでリアルタイムで日本に届けるって言ったら喜んでたよ。