イージーラブじゃ愛せない
…………面倒くさい。
だって、こんなの趣味じゃん。私がジョージの服やアクセサリーに妬いた事あるかっつーの。それと同じことじゃん。
まったく馬鹿だと思う。メンドくさいと思う。
呆れた溜息を吐き捨て、そのまま放っておこうとキッチンに戻ったけれど。
……ジョージがこんなワガママ言ったのは初めてかもしんない。
そんな事に気が付いて、私は洗い物をしていた手を止めると寝室へと向かった。
寝室のドアを静かに開けると、ジョージは真っ暗な部屋のベッドの上で背中を丸め、分かりやすく不貞寝していた。
「ジョージ」
ギシリとスプリングを軋ませ、寝ているジョージの隣に腰を降ろす。そっと柔らかな髪を撫でてやると、ジョージはようやく顔をこちらへ向けた。
「妬かないでよ。あれは趣味なんだからさ」
「……そーかも知んないけどさ。でも悔しい。胡桃は俺に一度もあんな乙女な表情してくれた事ないじゃん。目ぇキラキラさせて頬まで赤くしちゃってさ、ズルイよ」
「まあね。あれは“萌えてる時の顔”だから。あんたには向けないかな。でも“乙女な顔”は見せなくても、“女の顔”はジョージにだけ見せてるつもりだけど?」
ショボくれてたジョージが私の言葉にガバッとベッドから跳ね起きた。