イージーラブじゃ愛せない
内心ドキドキしながら見やった胡桃の顔は、いつもと変わらず涼しげな表情をしていて、形のいい唇に静かにビールを流し込んでいた。そして。
「ついでに温泉も入れるキャンプ場とかだといいよね」
長い睫毛の瞳をニコリと弓なりに曲げて微笑ませ、そう言った。
まあ、胡桃が笑い掛けたのは俺じゃなくりんりんと優吾の方だったけども。
それでも、彼女がこの話に乗ってくれた事が俺はメチャクチャ嬉しい。
やっぱ俺、胡桃のこと全然あきらめらんないし。
少しでも彼女に俺の気持ちがマジだってこと、分かってもらいたい。
考え無しに口走った提案だったけど、4人でいる事でギクシャクせず胡桃と一日中いられるこの計画は今の俺にとって最高にありがたいチャンスだ。
大切な友達と一緒に過ごせる貴重な時間と。胡桃との関係を変えてみせるチャンスと。
「そんじゃあ来月の頭にみんなで休み併せよう」
きっとその日は、俺にとって忘れられない一日になる。