イージーラブじゃ愛せない


さすがは山の天然温泉。
のぼせるほど湯に浸かった私たちの肌は、風呂から上がるとツヤツヤのスベスベになっていた。


「すごい!超スベスベになった!ここの温泉すごい!」

「このお湯ペットボトルに汲んで帰りたいわー。とりあえず後でもう1回入りに来よ」


ふたりゴキゲンでキャアキャア言いながらお互いの肌を触る。ただでさえツルツルのりんの顔はもはや磨かれたビー玉みたいだ。まばゆい。

嬉しそうに笑うりんの頬をスベスベと撫でながら私はしみじみ思う。本当にこの子は可愛いな、と。


素直で明るい性格も、弾けるような笑顔も、女の私から見てもたまらなく愛らしい。りんが風間くんに溺愛されるのも当然だ。


一緒にいるとこっちまで明るい気持ちになるし、それでいてちょっと抜けてたりもするから放っておけない。私はこの親友が大好きだと胸を張って言える。


なのに、時々。
本当に時々だけど。一緒にいるのがちょっとだけ辛いときがある。

それはりんがどうとかじゃなくって――りんと一緒にいる自分が嫌になってくるから。


誰にでもまっすぐに気持ちをぶつけられるりんが、自分の感情に素直に生きられるりんが、時々、羨ましくて仕方ない。

そう、例えば。
今この瞬間。
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