イージーラブじゃ愛せない
身支度を整えてから集合場所のバーベキュー場へ行くと、既にジョージと風間くんが炭に火を起こしていた。
「あー来た来た……って、何飲んでんの柴木ちゃん!?」
よく冷えた缶ビールをチビチビと飲みながらやって来た私を見て、団扇で炭を扇いでいたジョージが大声を上げる。やっかましいなぁ。
「のぼせちゃったから水分補給してんの。いーからほら、炭火に集中集中」
「俺が汗だくで火起こしてるっつーのに~」
私が促すと、ジョージはおおげさにしんどそうな顔をしてバタバタと団扇を動かした。
「ふたりともありがとー。魚釣れた?」
りんがトタトタと小走りをして風間くんの元へ駆け寄る。それを見た風間くんは嬉しそうに口元にカーブを描くと、クーラーボックスを開けて魚の入った袋を取り出した。
「マスとヤマメ。もうツボ抜きしてあるから焼けば食べられるよ」
「わーすごい!ひーふー…いっぱい!優吾すごい、釣り名人!」
「すごい、風間くんがツボ抜きしたの?器用だね」
「ちょ、俺も釣ったしツボ抜きも手伝ったから。少しは褒めて」
ようやく火の着いた炭をコンロに移しながら、ジョージが情けない声でこちらに訴えてきた。