イージーラブじゃ愛せない



「そんじゃ、カンパーイ!」


釣った魚が美味しそうに焼けた頃、改めて皆でビールを乾杯をさせる。って言ってもジョージだけはコーラなんだけど。

どこかへレジャーとなると車を出して運転手を買って出るのはいつもジョージだ。

車なら風間くんだって持ってるし、免許なら私だって一応あるけど

『いーのいーの、俺みんなと一緒なら運転もたのしーから』

そう言ってジョージはいつも運転手をひとりで担う。その台詞は冗談っぽくはしゃいで口にするけれど、きっとヤツの本心なんだろうな。

ジョージは本当に友達と遊ぶのが好きだから。長時間の運転も、遊びに来てひとりだけアルコールが飲めないのも、本気で苦にならないんだと思う。


……健気なほどコイツ、友達が好きだな。


チャラいけど、ウザイけど、やっぱジョージは友達としては最高かもしんない。褒めると調子付くから絶対言わないけど。


その健気さ、半分でもイージーな恋人たちに見せてあげれば、もっと長続きしたかもしんないのにね。


「……なんか私、ねちっこいな」


妙な思考になってしまった頭を軽く振って秋の青空を見上げる。高い空の下で飲むビールは格別だと思いながら。
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