イージーラブじゃ愛せない


あの夜の自分に言ってやりたい。ジョージと寝ちゃダメだって。

……いや、違うな。寝たのが問題って言うよりはジョージの告白が始まりだったんだ。この貴重な関係が壊れた始まり。

ああそっか。だったら成瀬先輩と寝なきゃ良かったのか。あれが無ければジョージもあんなこと言ってこなかったはず。


後悔。後悔。後悔。

大切なものを失った夜を、思い返しては悔やむ。



……時間を巻き戻す術があるなら貯金をはたいたっていいのに。

なんて、子供じみた願いに縋りながら、私は浴場に掛かってる時計をボンヤリと眺めた。


バーベキューを終えて片づけを済ませた私たちは、もう1度温泉に入りに来た。

冷えた身体をあっためて、ついでに炭火で燻されてしまった臭いも落とす。

今度は男子共も壁を隔てた向こう側で温泉に浸かってる筈だ。


美肌効果の高いお湯を全身に染み込ませていると

「おーい!こっちは貸切だよ~」

隣の男湯からジョージのアホな呼びかけが聞こえてきた。恥ずかしいヤツ。
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