イージーラブじゃ愛せない
私の弱点はりんだな。
自分の中で芽生えたのなら一蹴してしまう考えも、この子の言葉を通すと、受け入れざるを得ない気がしてしまう。
「柴木ちゃんがジョージを嫌いなら仕方ないけどさ。でも、そうじゃないなら『馬鹿』って切り捨てる前にちょっとだけ悩んであげちゃダメかなぁ?」
「……嫌いじゃないけど、それは友達としてだよ。好きとか恋人とか、そう云う目で見れない」
「でも、寝たんでしょ?」
げ。そこまで知ってたか。
そんな面倒な事になってると知りながら、今日一日平然と接してくれたりんと風間くんは凄いな。
「あれは……ジョージの勢いに押されたっていうか。眠くて断るの面倒だったって言うか」
「全然嬉しくなかったの?」
……そんなの。思うワケないじゃん。
だって、友達だよ?恥ずかしいなーとか、早く終わらないかなーとかそんな気持ちばっかりで。
『好きだよ胡桃。すげー好き』
こっちが恥ずかしくなるから余計なこと言うな、って。
『ずっとこうしたかった』
いちいちそんなコト口に出すな、って。
『ごめ……ん、痛くない?』
余裕無いクセに気ぃ使いすぎだから。
『胡桃。こっち見て』
そんな切ない表情向けられても困る、って。
そんな事ばっかり考えてた。
真っ直ぐ過ぎる眼差しから目を背けて瞼を閉じて。
なのに。
逃げた私の視線を追うように、ジョージは瞼に優しいキスをくれたっけ。