イージーラブじゃ愛せない
○滑稽センチメンタル○
○滑稽センチメンタル○
一生別れないとか、ずっと側にいるとか、高校生のバカップルかっての。
そーいう大層なことを言う奴に限って恋愛が長続きしてるのを見た事がない。
やっぱコイツはアホだな、って私はキャンプの帰りの車内で運転席に座るジョージの顔を眺めながらつくづく思った。
ロートーンのアッシュブラウンと似た色の焦げ茶の瞳。くっきりとした二重に少し垂れ気味な目は人懐っこそうだけど、今日に至ってはとろけ過ぎて目尻が下がりっぱなしだ。
「ニヤニヤしすぎ。キモい」
「いや~だって嬉しくて」
ホント単純。感情丸出しで生きるって楽そうでイイね、って心で毒づいて私は窓の外を眺める。
――恋人ってワケじゃないのに。
すっかり濃紺に染まった空は秋特有の淋しさを増幅させて困る。さっき、うっかり“悪くない”と思ったジョージの温もりが、なんだか今はやっぱり空しいものに思えてしまう。
チャらい性格。ペラい告白。やっぱりコイツとは恋人にはなれない。
改めてそう思うのに。
「柴木ちゃんももっとニヤニヤすればいいのに~」
なんて、何か誤解しているりんが後ろの席からからかったりするもんだから、私は引きつった笑いを浮かべる事しか出来なかった。