イージーラブじゃ愛せない
「いいから早く寝なって。明日遅刻しても知らないからね」
肩にまわされた手をほどき、くっついていた身体を強引に押しやると
「はーい。おやすみ、胡桃」
ジョージはいつもの明るさで布団に潜っていった。それを聞いて、苦しかった胸の痛みがわずかに和らぐ。
……馬っ鹿みたい。こんなの。
チャらいクセに、健気に尽くす犬みたいなジョージも。そんなのに胸が痛んだりする自分も。滑稽だ。
友達だって宣言したばかりなのに、滑稽な恋になんかしたくない。センチメンタルに流されるイージーラブなんて、馬鹿らしくて目も当てられない。
ペットボトルの水を半分ほど乾いた喉に流し込んでから、私はもう1度ベッドに潜り直した。
既に寝息をたてていたジョージに背を向けて。
きっと温かいだろう彼の懐には、埋もれたくないから。