イージーラブじゃ愛せない
「胡桃、こーいう男が好みなの?」
ぶすくれながら俺が言えば
「二次元と三次元を一緒にするな。現実にこんな事言う男がいたら張り倒して逃げるわ」
ごもっともな意見が返って来た。
でもなー、それはそれで同じ土俵に立てないってのはフェアじゃねーよな。……って、俺マジでアニメのキャラにライバル視してるし。
クッションを抱きかかえながら目をキラキラさせて画面に食い入る胡桃。それを横目に眺めて俺はますます拗ねる。
なんだよ、その可愛い顔。ちぇ、俺もそんな表情させたいなー。ていうか、かまって。
けれどそれでも。
休みの日に、胡桃が側にいる。それだけで俺はかなりハッピーだったりする。
夢中になってDVDを観ている胡桃の背中を眺めながら、俺はベッドに寝転がるとイヤホンを填めてアイポッドから音楽を流し始めた。
お気に入りの甘ったるいラブソング。もう何十回聴いた曲も、ダラダラとまどろむ休日も。好きな子の後姿を眺めながらなら、とびっきり幸せなものに変わっていく。