イージーラブじゃ愛せない
「否定しないよ。そーいうのが楽しくてしょーがない時期だったし。若気の至りっての?あ、でも女の子を呆れさせた事はあっても泣かした事はないから」
「ふーん」
俺の言葉にそっけない返事をした胡桃は、もう画像を見てはいない。手元のオレンジジュースを飲んで、どこか遠くを見ていた。
……呆れたかな。やっぱ。でも俺、胡桃には隠し事はしたくない。ちゃんと全部見せたいし。それが誠意じゃないかなって思う。
そんな事を思いながら、再びスマホをグリグリと弄って今度は画像フォルダから別の写真を取り出す。
「見て見て、これ高校生の頃。可愛いっしょ」
今度は黒髪ショートヘアのまだ青臭い頃の俺。ブレザーを着てあどけない笑いを零している画像を胡桃に向けた。
「……これ誰?」
やっぱさっきの写真で呆れたのか最初は興味無さ気だった胡桃の視線が、チラリとスマホを見た後、少しだけ食いついた。
「高校の頃の俺。爽やかでしょ?」
「違う、一緒に写ってる人」