黄昏の特等席
二人の宝石
屋敷のメイドとして働くグレイス=キーフは屋敷の主であるブライス=アンドリューズに拾われたときから、深い事情があり、ずっと偽名を名乗り続けている。
仕事が終わってから、一人で屋敷内を歩き回ることにする。
しばらく屋敷内を歩いていると、ある場所に辿り着いたーーそこはあまり立ち入ったことがないところで、奥に図書室が見える。
時間が遅いので、どうせ中に入ることなんてできないだろうと思いながら、重いドアをゆっくりと開けて、一歩足を踏み入れた。
「誰だ!?」
「きゃっ!」
誰もいないと思っていた低い声に悲鳴を上げた。
書架の影から現れたのは栗色の髪に、深緑色の瞳をした男。見た目からして二十代。シャツのボタンは複数外されていて、胸板が少し見えているので、グレイスは目のやり場に困った。
「聞こえなかったか? それとも質問の意味がわからなかったか?」
「い、いえ・・・・・・」
彼は俯いているグレイスの顎を持ち上げ、藍緑色の瞳を覗き込んでいる。
どちらも違うことを伝えて、言葉を続けようとしたとき、長い指がグレイスの唇を撫でている。
「何するんですか!? や、やめてください!」
仕事が終わってから、一人で屋敷内を歩き回ることにする。
しばらく屋敷内を歩いていると、ある場所に辿り着いたーーそこはあまり立ち入ったことがないところで、奥に図書室が見える。
時間が遅いので、どうせ中に入ることなんてできないだろうと思いながら、重いドアをゆっくりと開けて、一歩足を踏み入れた。
「誰だ!?」
「きゃっ!」
誰もいないと思っていた低い声に悲鳴を上げた。
書架の影から現れたのは栗色の髪に、深緑色の瞳をした男。見た目からして二十代。シャツのボタンは複数外されていて、胸板が少し見えているので、グレイスは目のやり場に困った。
「聞こえなかったか? それとも質問の意味がわからなかったか?」
「い、いえ・・・・・・」
彼は俯いているグレイスの顎を持ち上げ、藍緑色の瞳を覗き込んでいる。
どちらも違うことを伝えて、言葉を続けようとしたとき、長い指がグレイスの唇を撫でている。
「何するんですか!? や、やめてください!」
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