黄昏の特等席
帰るところ
 クルエルに閉じ込められてから、どれくらい経過したのだろうか。あの鳥がまたグレイスの元にやってきた。
 苦痛に耐えることに疲れて動けずにいると、鳥は小さな布地の袋を持っていることに気づき、そこから薬を取り出した。それをグレイスの口の中に入れようとしていて、素直に口を開いた。
 これ以上何か悪いことなんて起こってほしくない。我慢の限界を感じていたので、グレイスはそれを躊躇うことなく飲み込んだ。
 すると、視界が歪んで、周りはどんどん高くなり、鳥を少し見上げるようになった。水差しの水で自分の姿を確認すると、グレイスは小鳥になっている。
 驚きのあまり、グレイスは気を失ってその場に倒れてしまった。鳥がグレイスをおんぶして、見つからない間に外へ飛んだ。
 目を覚まそうとしたとき、グレイスはいつもより光が眩しくて、なかなか目を開けることができなかった。
 それに近くで男達の声が聞こえるので、恐怖で布団に潜り込んだ。いつもよりふかふかで柔らかい布団なので、眉間に皺を寄せる。
 ドアが閉まる音がしたので、グレイスは恐る恐る目を開いた。

「・・・・・・あれ?」

 グレイスがいる場所は牢屋ではなかった。広々とした部屋で、眩しさを感じたのは部屋の明るさだった。

「ここは・・・・・・」
「起きたか?」
「っ!」
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