黄昏の特等席
 これ以上、下手に誤魔化そうとすると、余計にややこしくなりそう。
 そう思ったグレイスが一人の男に好かれていることを話すと、二人のテンションが一気に上がった。
 どんな人物なのか、名前や年齢、性格など、次々と質問をされて、答えられる範囲だけ答えた。

「名前も知りたかった・・・・・・」
「それ以上言ったら、誰だかすぐにわかってしまうじゃないですか」

 誰にも言わないことを言われたが、もう一人の先輩がそれは信用すべきでないことを伝えてくれた。

「誰なのか、気になるわね・・・・・・」
「先輩はいないのですか? 好きな人」

 こっちから質問をすると、彼女は溜息を零しながら、首を横に振った。
 彼女はなぜか年下の男に言い寄られることが多く、年上の男には女として見られない。

「モテるだけでもいいと思う」
「恋人がいるあんたに言われたくないわよ」

 二人の会話を聞きながら、グレイスが注文したケーキを食べながら、控えめな甘さを感じていた。

「グレイスに好意を抱いている人、年上なんでしょ?」

 ケーキが口の中に入っているので、首を縦に振って肯定する。

「あ! アクア、知っている?」
「何をですか?」

 屋敷に住んでいるヴァネッサがやりたい放題していることを話すので、大体知っていることを言った。

「ブライス様にいろいろなものを貢がせているのですよね?」
「それだけじゃないわよ」
「・・・・・・他にも何かあるのですか?」
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