黄昏の特等席
 二人で横に並ぶようにソファに座っていると、エメラルドがグレイスの額を凝視している。
 手で隠そうとすると、その手を払われて、エメラルドがグレイスの額に指で軽く押した。そのときに顔を顰めたのをエメラルドは見た。

「触られると痛むか?」
「そんなに痛くはないよ・・・・・・」

 グレイスが攻撃をしたのだから、エメラルドだって痛みを感じている。
 
「君に押し倒されたのだから、お返しをしようとしただけなのにな・・・・・・」
「そんなものいらない」

 グレイスがエメラルドを押し倒したのではないから、お返しも何もないのだ。

「そろそろ勉強するから・・・・・・」

 今からやる勉強はグレイスの苦手分野なので、あまり乗り気ではない。
 そのことを知っているエメラルドは憂鬱そうにしているグレイスの肩を軽く叩いた。

「今日は別の勉強をしないか?」
「別ね・・・・・・」

 何の勉強をする気なのかと思っていると、エメラルドのことがわかる勉強をしようとしている。

「エメラルドのこと、少しくらいならわかっているよ」
「どんな?」

 スキンシップやからかうことが好きで、人が振り回して遊ぶことを言うと、彼は肯定した。
 それ以外のことももちろんあるが、これは良いことばかりなので、本人に言わない。

「他には?」
「知らない」
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