黄昏の特等席
「健康に悪いでしょ? それに太ったら嫌だから・・・・・・」

 エメラルドはグレイスを見て、痩せているからもう少し食べるように言ってきた。

「君の好きなものを知らないとな」
「どうして?」

 もう少し体重が増えたら、抱き心地が良くなることを言われ、食べ物の量や食べる時間に気をつけることにした。

「今も抱き心地が良い」
「良くないから」
「感じるのは私だろう?」

 距離を縮められることを恐れたグレイスだが、彼は近づいてこなかった。

「良いことを思いついた」

 嫌な予感がするので、グレイスは警戒する。顔を強張らせているグレイスと違い、エメラルドは満面の笑顔だ。

「今晩だけ君の部屋に泊めてくれないか?」
「嫌」

 彼が何を考えているのか、正直わからない。

「即答だな・・・・・・」
「どうしてそうなるの?」

 寒い日が続くので、抱き合ったら寒さを凌ぐことができる。
 理由もしっかり言ったエメラルドはグレイスに手を伸ばしたので、それをかわした。

「さっきも言ったでしょ!? 絶対に嫌なの!」
「どうしてだ? ああ、そうか」
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