黄昏の特等席
　もう一杯飲みたがっているヴァネッサからティーカップを受け取り、ミントティーをそこに注いで彼女に渡す。
　しかし、彼女はそれを飲まず、別の紅茶を淹れるように言ってきた。

「ミントティーは飽きたのよ！　他の紅茶だったら何でもいいわ！　さっさとして！」
「・・・・・・わかった」

　ブライスを部屋から追い出した後もヴァネッサはずっと眉間に深く皺を寄せている。
　騒動を起こして怪我をしてしまったので、今も外出することを禁じられている。つまらない日々にうんざりして、ストレスが溜まっている。食べることで苛立ちを抑えるために好きなものを食べ続けている。
　ティラミスを食べているときにブライスが紅茶を持参して、部屋に入ってきた。

「あら？　さっきよりは早かったわね」
「あぁ」

　湯気が立っている紅茶を一口飲み、ティラミスを食べようとする前にブライスが声をかける。

「そろそろ教えてもらいたい」
「何をよ？」
「前にも言った」

　彼に邪魔をされたので、ヴァネッサはブライスを睨みつけている。

「今までどんな望みも叶えた・・・・・・」
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