黄昏の特等席
　ブライスがそこまで言うと、ヴァネッサは彼が見返りを求めていることを察した。

「ドレスや甘いスイーツ、化粧品や宝飾品など、あらゆるものを与えた。そうだろう？」
「そうね。その通りだわ・・・・・・」

　周りからすればあまりにも好き勝手に贅沢なことをしている。
　たくさんのものを買ってもらってそのときは満足するものの、すぐに飽きて別のものに目を向ける。
　今までヴァネッサを見てきたブライスは彼女が欲しいものはもっと別にあるように思っている。それを知りたいので、本人から言ってもらいたい。

「本当は前から欲しいものがあるのだろう？」
「・・・・・・否定しないわ」

　それを今までずっと探し続けているのだから。

「あなたの言う通りよ。一番欲しいものをいい加減手に入れたいわ。欲しくて仕方がないもの・・・・・・」
「だったら・・・・・・」

　一番欲しいものを手に入れるから、それが何か教えてほしいことを言うと、彼女の口元が歪んだ。
　ヴァネッサは彼を見上げて、媚びるような笑みを向けて言い放った。

「今、一番欲しいものはーー」
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