黄昏の特等席
　今まで多数の女性達と関係を持っていたクルエルがグレイスに好意を抱いているため、恋人にする可能性があるという話。
　しかし、グレイスはまだ子どもだということを知らない人達は大勢いる。
　そもそもここに連れてきたのは見知らぬ者に命を奪われそうになったから、助けたことが理由。犯人は自分を捕まえられないことを嘲笑うように、若い女を狙って、犯罪を繰り返している。
　ミルドレッドはグレイスの年齢を知っている一人でもあるので、子どもを本気で恋人にすることなんて考えていないと思い、その場を後にした。
　それから三週間後のこと、ミルドレッドは久しぶりにラッドと偶然会った。

「お久しぶりです」
「本当に・・・・・・」

　彼は笑顔で話すものの、どこか暗く、無理をして笑っているように見える。

「どうかしたの？」
「えっと・・・・・・」

　ラッドは左右を気にして言いにくそうにしているので、ミルドレッドは彼を連れて、普段行くことがない公園まで向かうことにした。
　向かっている途中に小さな店があったので、そこで数種類のパンを買った。

「ここでだったら、話すことができる？」
「はい」
「それでどうしたの？」

　公園のベンチに横に並ぶように座り、ミルドレッドは話を聞く。
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