黄昏の特等席
「俺、お嬢様と仲良くなってから、クルエル様に嫌味を言い続けられていたんです。それに嫌がらせも・・・・・・」
「本当に・・・・・・?」
「はい。本当です・・・・・・」

 最初はどうして態度が変わったのかわからなかったが、クルエルがグレイスのことを言ったので、それでわかった。
 クルエルがグレイスを縛っているように見えて仕方がない。

「クルエル様はお嬢様を家へ帰す気がない・・・・・・?」
「まさか、そんな・・・・・・」

 ミルドレッドはありえないことだと信じたかった。
 今でもグレイスが家に帰りたがっていることはクルエルだって、よくわかっていること。
 だけど、外に出たら、危険人物がグレイスを待っている。今度こそ命を奪われてしまうかもしれない。クルエルは説得し続けながら、グレイスをそばに置いている。

「グレイスお嬢様を独占したいから・・・・・・?」
「だけど、お嬢様は本当に命を狙われました!」
「そうよね・・・・・・」

 犯人について詳しい情報も得ることができていない。
 わからないことがあるものの、情報が少ないので、もっと集めなくてはならない。

「お嬢様にお会いしたいです・・・・・・」

 ラッドは寂しそうな顔をして、空を見上げた。
 ミルドレッドとラッドは連絡を取る約束を交わして、それぞれ別の道を歩いて行った。
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