黄昏の特等席
「それにね、不要なものを消すことも躊躇わない・・・・・・」

 それを聞いて、ミルドレッドはぞっとした。
 寒気を感じて震えているミルドレッドが外で聞いているとは知らず、二人は笑いながら会話を弾ませている。

「クルエル様の命令に従って~、悪いことは前からやっていますわ~」
「君が僕の右腕で助かるよ」

 身分が低い女はクルエルに協力して、グレイスを騙して、ここに閉じ込めた。今までクルエルが邪魔者と判断した女を殺している殺人鬼でもある。
 いっそのこと、部屋から一歩でも足を踏み出せば、外にはグレイスにとって、恐ろしい敵がいることを思うようになったら好都合。
 クルエルのそばにいることが最も安全だと理解して、自分からしがみついてくるかもしれない。そう思うと、笑いが止まらなくなる。

「毎日武器を持ったまま、外にいたらとても疲れますわ~」
「そんなこと、させていないでしょ?」

 グレイスがしつこく逃げ出そうとしたら、クルエルは彼女に邪魔な女を殺させている。
 だから、今もそのことに怯えて、グレイスはここに居座り続けている。

「気になったのですけれど~」
「・・・・・・何?」
「クルエル様は~お嬢様のどこに惹かれたのですか~?」
「あぁ・・・・・・」
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