さよならブルー
「歩かなくていい。お願いだから、早く行って」
あたしは足を止めて、アオイを睨みつける。
ホームルームはともかく、あたしのせいでアオイが授業にまで遅刻するなんて、困る。
すごく困る。
少なくとも他人には、これ以上迷惑をかけたくないのに。
「…わかったよ」
しばらく無言で見つめあっていると、アオイは観念したようにまた自転車に乗った。
「岡野も早く行けよ」
不服そうにそう言って、それをかき消すように微笑んでから、ゆっくりとペダルを漕ぎ始める。
だんだんと姿が小さくなって、そのうちに角の向こうに吸い込まれていった。
アオイの消えた角を見ながら、あたしはまた歩き出す。
一歩一歩、前に進む。
学校に向かって。
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