さよならブルー
バカバカしいのはあたしの方だ。
毎日毎日、こんなことを繰り返して。
「…岡野?」
名前を呼ばれてようやく顔を上げると、シルバーの自転車に跨った男の子が、不思議そうな顔であたしを見ているのが目に入った。
大きくて真っ黒な瞳。
整ってはいるけどまだあどけなさの残る顔は、夏前だというのにもうきれいに日焼けしている。
短めに切りそろえられた瞳と同じ真っ黒な髪は、日差しで銀色に光って、清潔感を際立たせていた。
「具合悪いの?」
そう言って、心配そうにあたしの顔を覗き込む。
「悪くない」
あたしはぶっきらぼうにそれだけ言った。
元々こういう喋り方だけど、他人と話すのはあまり慣れてないからよけいにそうなる。
せっかく心配してくれたのに、気を悪くさせてしまったかもしれない。
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