さよならブルー

「そっか。よかった。すげぇ暗い顔してたから、具合悪いのかと思った」


あたしの心配をよそに、目の前の男の子はそんな素振り一つ見せずに優しく笑った。


“優しく”って言うのが本当に似合う笑い方。


あたしはこれに似た笑い方をよく見てる。


「何してんの?」


男の子は印象のいい笑顔を崩さないままで、あたしの足下に視線を落としながらそう尋ねる。


「別に何も」


学校に行くのが嫌で帰ろうと思ったけど、罪悪感で足が動かない、なんて言えるわけない。


これがもう日課になっている、だなんて。


.
< 4 / 16 >

この作品をシェア

pagetop