天然愛され彼女と…俺の生活。
あのあと、どうやって遊んだかなんて覚えてない。
もしかしたら、帰ったのかもしれないし、ましてやそのまま海で遊んでたのかもしれない。
わかんない。
透明を家に送りとどけて、俺も自分の家に帰る。
その道はどこか怖くて…。
「…時雨?」
振り返ると…中学時代の友達・増田 幸太郎(ますだ こうたろう)がいた。
「…コウか、ビックリした」
俺は安心して、笑顔を向けた。
「俺もビックリだよ。こんな所で時雨に会えると思ってなかったし…」
俺は幸太郎のことをコウと呼ぶ。
中学時代で一番仲良かったと思うし…。
俺とコウは歩きながら話す。
「コウは高校どうだ?」
「俺!?俺はねー…うん。そこまでだったかな」
コウはさみしげに笑う。
そしてコウは言葉を繋げる。
「彼女のアケミ居たじゃんか?」
「嗚呼…」
確かに、居た気がする。
コウが中3の秋に告ってるのを見た。
「…取られたんだよね」
「…と、取られた?」
どういうこと?
「時雨は知らないかもしれないけど…、哉魔屋がアケミにちょっかい出してたらしくて」
「なるほど…って、もしかして哉魔屋弓弦!?」
俺は驚いて、コウを見た。
隣にも俺と同じように驚いた顔をしたコウがいて…。
「哉魔屋…知ってんの?」
「し、知ってるも何も…てか、これから俺の家如何ですか」
真顔で言うと、コウはブハッと吹き出した。
「いーよ。時雨の家邪魔するわ」
コウと俺はそう言って、家路を急ぐ。