天然愛され彼女と…俺の生活。
…だから、俺だけに見せて欲しい。
俺は突き当たりについて、思いっきり階段を三段飛ばしで駆け上がる。
ガラッと開けたドアの奥には。
「…っ透明!」
やっぱりどこか消えてしまいそうな、君がいるんだ。
体育座りをしていた透明は、顔を上げた。
「…シグちゃん?」
「…透明、悪いけど。…ホントに悪いけど!……補習サボろう!」
俺はかなり「サボろう」に渋る。
…だって、俺…サボったこと人生でまだないんだよね。
透明の目は見開かれる。
俺も透明の隣に座り込む。
「…俺さ、透明が俺の前から消えちゃいそうで怖いんだ。もしかしたら俺を好きなの嘘だったんじゃないか、って怖くなった」
「…うん。でもっ」
透明は俯いていた顔を上げる。
上げた先には、待ち構えた俺の唇。
ふんわりと香った透明のシャンプーの匂い。
「…言わせてよ。俺、透明を信じてる。どんな過去があろうと透明を信じるから」
ギザかもしれない。
でも信じてるから。
それを伝えたかった。
「…ありがとう。補習なんてどうでもいいや。本当はね、今日ズル休みしようとしてた」
俺はコクリと頷く。
「でも、シグちゃんにどうしても…会いたくなった。抱きしめて欲しかった。信じてるよ、好きだよって…言われたくなった」
いつの間にか透明は嗚咽を漏らして泣いていた。