天然愛され彼女と…俺の生活。
「ねぇ」
ヒョコヒョコ歩きの櫆。
「何?」
手を握りしめながら、櫆を見る。
「…俺、お前のこと…透明のこと好きだよ」
「知ってるよ」
あたしはクスクスと笑う。
あたしは続けて
「だって、あたしも櫆のこと大好きだもん」
と櫆をギュッと抱きしめた。
そして、櫆はあたしを離す。
「…こんな俺だし、別れてもいいよ」
寂しそうに笑う櫆。
あたしは初めて頭にきた。
なんで…?
どうして?
あたしはもう用済みなの?
「…なの?」
あたしは涙目で櫆を見た。
「ご、ごめん。小さくて聞こえなかった」
「ねぇ、あたしのこと嫌いなの?」
「…な、んでそうなるの?」
櫆はあたしを抱きしめる。
でもなんでとかじゃないでしょ?
あたしはグッと櫆の胸を押した。
「アナタが思ってるほどあたしは軽くないよ!馬鹿じゃないの!?アンタなんかっ…!」
あたしは泣き叫ぶ。
櫆にそんな風に思われてるなんて思わなかった。
とにかく…悲しかったんだ。
『嫌い』
その言葉はなかなか口から出なかった。
声にならなかった。