恋するリスク
(仕事終わってからも西村先生に会うとか、絶対にイヤなんだけど・・・。)
欠席したいけれど、気分が乗らないという理由でドタキャンできるほど、怖いもの知らずな若さもなければ、許されるほどに偉くもない。
ため息をついて私は言う。
「うん・・・。行く予定。」
「そうですか。じゃあ、とりあえず飲んで気分転換してください。
解決はできないかもしれないですけど、愚痴ならいつでも聞きますよ。」
「・・・ありがと。」
さわやかな笑顔で言われれば、そう答えることしかできなくて。
「じゃあ、また夜に。失礼します。」
私にお辞儀をすると、佐藤くんはそのまま、先生たちのいる医局の方へと向かっていった。
(はあ・・・。憂鬱だな。)
その後は、重い気持ちでなんとか仕事に取り組んだ。
なるべく西村先生との接触を避けて、動揺しないように気をつけてはいたけれど、私はもう、そんなこんなでかなりいっぱいいっぱいの精神状態。
幸いミスはしなかったものの、終業時には抜け殻のようになっていた。