恋するリスク
「・・・大丈夫じゃないでしょう。

じゃあ、なんで朝泣いてたんですか?」

「!」


(見られてたの?)


切なげな顔の佐藤くんと視線が絡まり、心臓の音が激しさを増した。

「泣いてる藤崎さんの後から西村先生が出てきたら、

何かあると思いますよ、普通。」

「あ、れは・・・。」

「キスしてただけだよ。」

「!!」

口ごもる私を制し、西村先生は平然と言い放つ。

「は・・・!?」

佐藤くんが一層鋭い視線を西村先生に向けたとき、どこからともなく聞こえてきた島村さんの声が、廊下中に響き渡った。

「佐藤ーーーーー!!ちょ、ちょ、ちょ・・・、何してるんだーーー!!」

ダダダダダと廊下を走り抜け、私たちの前に辿り着くやいなや、血相を変えた島村さんは佐藤くんを取り押さえる。

「ま、まあ、落ち着け、佐藤!」

明らかに佐藤くんより取り乱している島村さんは、深々と西村先生に頭を下げた。

「すいません、西村先生!今日のところはここで連れて帰りますので!

後でご無礼を謝罪しに参ります!!!」




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