恋するリスク
「それで?何があったの?」

「ん・・・。」

休憩室に入ると、私は心配そうな表情の穂乃香に、先ほどの一件を報告した。

私が話し終わると、穂乃香は大きくため息をつく。

「本当に西村先生は・・・。男の嫉妬はやだなあ。

真緒の気持ち、全然考えてないじゃない。」

怒りを伴った口調で、穂乃香はも再びため息をつく。

「でも・・・佐藤くんもそういうとこ、やっぱ若いよね。

取引先の先生にそんな態度とったら、ただじゃすまないと思うけど。」

「うん・・・。それが、ちょっと心配。」

佐藤くんの気持ちはとてもうれしいけれど。

私のせいで仕事に影響があったら・・・どうしよう。

結局私は、自分の気持ちを隠すだけ隠して、佐藤くんに迷惑をかけてしまった。

それを考えると、胸が痛い。

「それにしても。」

穂乃香は付け足すように呟く。

「医局の前でそんな話して。

中に相沢先生がいたかどうかは知らないけど、さすがにウワサで耳にすると思うよ。」

そう言うと、穂乃香は三度目のため息をつく。


(そうだ・・・。)


私と西村先生と佐藤くん、三人だけの問題ではなくて。

相沢先生も巻き込んでしまうことに、私の気持ちは、ますます重くなっていった。









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