恋するリスク
「うん。どうぞ。穂乃香、あっちでもう盛り上がってるし。」

「じゃあ、失礼します。」

軽くお辞儀をすると、佐藤くんは私の隣に腰を下ろす。

「とりあえずじゃあ・・・おつかれさまです。」

そう言われ、二人でグラスをカチンと合わせた。

「今日は忙しかったですか?」

営業マンらしく、早速話題を振ってくれる。

「ううん。検査も少なかったし、患者さんも落ち着いてたし。」

「そうですか。よかったですね。」

にこやかに微笑む佐藤くん。

後輩たちに人気がある理由も、納得する。

「佐藤くんは?」

「オレは・・・いつも通りですかね。」

「ふうん。そっか。いつも忙しそうだよね。おつかれさま。」

「あ、いえ・・・。」

佐藤くんは視線をそらすと、何かを誤魔化すように、ビールを喉に流し込む。

「ああ・・・えっと、そういえば、朝やさぐれてるって言ってましたけど・・・もう落ち着きましたか?」

思い出したように呟き、私に視線を投げかける。

「・・・うーん、大丈夫じゃないけど。まあ、自分で聞こうと思うから。」

「聞く?」

「あ・・・ううん!なんでもないよ。大丈夫。

もう、顔に出さないように気を付けるから。ごめんね、心配かけて。」

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