恋するリスク
それからまた3日間。

今日も、菱沼製薬のMRの中に、佐藤くんの姿はない。

仕事が終わり、気持ちに少しだけ余裕のあった私は、思い切って島村さんに問いかける。

「あの・・・佐藤くんの研修は、いつまでなんですか?」

「えっ・・・!あ、えーと・・・いつまでだったかな。

結構長かったような・・・。」

視線を泳がせ、あいまいな返事をする島村さん。

そんな様子に、私の不安はますます大きくなっていく。

「真緒、ちょっと。」

遅番で廊下の倉庫整理をしていた穂乃香が、立ち尽くす私を手招きした。

「なに?」

「昨日ね、百瀬先生から聞いたんだけど・・・佐藤くん、実家に帰るみたいだよ?」

「えっ・・・?実家・・・?」

予想外の報告に、私は理解が追い付かない。

「うん。佐藤くんの実家、鳥取で薬局経営してるんだって。

佐藤くん、薬剤師の免許も持ってるらしいんだよね。

それで、勉強のためにMRもやってたみたいなんだけど・・・

今回のことで会社に居づらくなったらしくて、鳥取に帰るみたいだよ。

今日だか明日には、引っ越しするとか言ってたかな。」

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