恋するリスク
503のドアを開けて靴を脱ぐと、玄関の電気だけをつけて、そのまま寝室のベッドへと倒れ込んだ。


(・・・はあ・・・。)


長い、一日だった。

朝、西村先生から別れを告げられ、仕事をして食事会に行って・・・穂乃香と飲んでそれから・・・佐藤くんに会って。

忙しかったおかげで、必要以上に落ち込む時間は少なかったのかもしれない。

今になって、押し込めていた脱力感や淋しさや虚しさや悔しさや・・・さまざまな負の感情が、私の心を支配する。

緊張の糸がほどけたように、ぶわっと、涙がこみ上げた。


(なんで・・・。)


(なんで、こんなことに・・・。)


認めたくはないけれど。

本当に私は・・・西村先生のことが、大好きだった。

オレ様で強引で、いつも振り回されてばかりだったけど。

最後はいつも、「ごめんな」って、甘い顔して囁くんだ。

それで、必ず抱きしめてくれて・・・私はとても、幸せだった。

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