恋するリスク
「早速ですけど、今日の夜ラーメン屋に行きませんか」という誘いのメール。

ほんの少しだけ考えて、私はすぐに返事を打った。

「はい。行きたいです。仕事が終わったら連絡します。」

淋しい気持ちにならないように。

西村先生のことを考えなくてすむように。

今はなるべく、夜にひとりでいたくない。

予定をくれた佐藤くんに、私はちょっと、感謝した。



大した残業もなく仕事を終えて、18:30に職場を出た。

佐藤くんとは、家の近くのコンビニで、待ち合わせすることになっている。

あと30分はかかるというメールを受け取っていたので、私は一度帰宅して、簡単なメイク直しをしておいた。

疲れていた顔がちょっとだけ明るくなって、気持ちも少し上がっていく。


(化粧ってありがたいな・・・。)


そんなことを考えながら鏡を覗いていると、ブブブ、と、スマホのバイブが震え出した。

画面を操作し、差出人を確認する。


(佐藤くんだ。)


コンビニに着いたらしい。

私は髪の毛を結び直すと、待ち合わせの場所へと向かって行った。






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