恋するリスク
コンビニの前には、スーツ姿の佐藤くんが立っていた。

私を見つけると、彼は軽く頭を下げる。

「お待たせ。佐藤くん、スーツのままでいいの?着替えるくらい待ってるよ。」

未だ堅苦しい装いに、私はそう提案する。

近所だし、着替えに帰っても、たいして時間はかからないはず。

「いえ。オレの場合、スーツの方が楽なんですよ。」

考える間もなく、即答する彼。

「・・・ふうん。そっか。」

私は普段スーツなんて着ないから、たまに着ると、早く脱ぎたくて仕方ないけど。

いつも着てるとそうなのかな、と私はなんとなく納得する。

「じゃあ、行きましょうか。」

「うん。」

佐藤くんに促され、私たちは歩き出す。

ラーメン屋さんは、ここから歩いて10分ほどの場所にあると言う。

「車にするか迷ったんですけど。」

私に歩調を合わせながら、佐藤くんは呟く。

「いいよ、10分くらい。歩いた方が健康的だし。」

「はは、そうですか。

そうですね・・・藤崎さん、そう言ってくれる気がして。」

隣で見下ろされるように笑いかけられ、私はちょっとドキッとする。


(西村先生とタイプは違うけど、確かに・・・かっこいいもんね。)







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