恋するリスク
背は西村先生ほど高くはないけれど、男子の平均身長からしたら、高い部類に入るだろう。

3つも年下じゃなかったら、私も佐藤くんに、憧れを抱いていたかもしれない。

私は昔から「頼れる年上のひと」というのが好みなのだ。

年下というだけで、恋愛対象にはなりにくい。

まあ・・・「頼れる」を安心感とするならば、西村先生にそんなものはないけれど。

引っ張っていってくれることを思えば、やはり・・・私は彼を、頼りにしていた。

どこに行っても何をしても、全ては彼のペース任せで。

振り回されながらも、私は、それを心地よく思っていた。



住宅街を抜け商店街に差し掛かると、薄暗い中にぼんやりと光る、ラーメン屋さんの赤い看板が見えてきた。

店の外までたちこめるおいしそうな匂いに、たちまち食欲をそそられる。

カウンターが10席ほどの小さな店は、すでに満席だったけれど、回転が速く、5分ほど待つとすぐに席に通された。

「今日はオレのおごりなので、なんでも頼んでください。

ギョーザでも、チャーシュー追加でも。」

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