恋するリスク
「うん、おいしい!」

私が感想を述べると、ピッと箸をそろえた佐藤くんが、「ですよね」と言って笑う。

「オレ、ここの豚骨は、日本一だと思うんですよ。」

熱く語りはじめると、カウンターの中にいた大将と思われる人物が、佐藤くんに「おっ!」と笑いかける。

「にーちゃん、いいこと言うじゃねえか。」

「いや、本当に。オレ、ここの豚骨なら毎日いけますよ。」

「うれしいねえ。そういやにーちゃん、よく来てくれるもんなあ。」

うんうん、と満足そうにうなずく大将。

そんな調子でしばらく佐藤くんと会話を弾ませていた大将は、チラリと私に視線を向ける。

「しかし、にーちゃん、ずいぶんキレイな彼女がいたんだなあ。」

「え!?あ、い、いや・・・。」

大将ににまにまと笑いかけられ、佐藤くんは口ごもる。

彼なりに否定したつもりのようだったけど、そうは受け取らなかった大将は、「まあまあ」と言いながら、大きなタッパーを取り出した。

「特別に、チャーシュー1枚ずつおまけだ!」

大将は佐藤くんのどんぶりにチャーシューを入れた後、「はい、彼女にも」と言って、私のどんぶりにも1枚ひらりと入れてくれた。




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