恋するリスク
「いつか耳に入ると思うから言うけど・・・私、二股かけられてたんだよ。

本命じゃなくて、浮気相手の方。

しかも、2年間も気づかなかったの。馬鹿みたいでしょう。

そんな、軽い存在なの。」

言ってからすぐに、後悔する。

こんなこと・・・いま、佐藤くんに言うべき話じゃないのに。

フラれたばかりで確実に、自暴自棄になっているとは思うけど。

好意を見せてくれた彼に、なんでこんなこと・・・わざわざ言っちゃったんだろう。

浅はかな自分。

そんなことを考えて、悲しくなって下を向く。

「別に。」

暗くなった私の耳に、呟くような声が聞こえた。

「え?」

「西村先生が、そうしたっていうだけでしょう。

オレには、藤崎さんがそんな・・・軽い存在だとか、そんなこと、全く思えないですよ。」

いつもと違う、低いトーンの声に驚いて、私ははっと彼を見た。

「だから・・・そういうことがあったからって、

藤崎さんが自分を否定したり、

自分を貶めるような発言をする必要は全くないし、してほしくないです。」



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