恋するリスク
誘惑
微妙な関係を築いたまま、新年度を迎えた。

内科病棟にも、新卒の看護師が3人加わり、新しい風が吹いていく。

固まって歩く姿が、初々しくて微笑ましい。

こういう光景を見ていると、また新しく一年が始まっていくのだな、と毎年同じことをしみじみ感じる。

師長は日勤の仕事が始まる前、スタッフに新人3人の紹介をした。

新人さんそれぞれが自己紹介を行い、私たちの拍手が鳴りやんだ頃、今度は新人医師であろう4人を引き連れた佐野教授が、ナースステーションにやってきた。

男の先生が2人と、女の先生が2人。

そのとき、今まで全くなかった女の勘というやつが、私に突然、働きだした。


(この人だ・・・。)


女の先生は2人いる。

けれど私は、右側に立つ女医さんに、引き付けられるように視線を合わせた。

「静岡県出身の相沢凛です。」

明るく、はきはきとした話し声。

西村先生と同じ出身地。

多分・・・間違いないだろう。

冷えていく頭で、彼女を見つめる。



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