恋するリスク
今日が深夜勤の穂乃香は、これからの仕事に向けて、きっと今頃夢の中だ。

暗い気持ちになって、私は会場内を見渡した。

等間隔で、何台も設置された6人掛けの丸テーブル。

結婚披露宴を思わせるその会場は、ご丁寧に、一人一人の座る位置に、ネームプレートまで置いてある。


(幹事の百瀬先生が、席決め大変だとか呟いてたっけ・・・。)


席次表までは作らなかったらしく、ネームプレートを確認しながら、自分で席を探して回る。

ウロウロと歩き回っていると、会場の出入り口に近いテーブルの上に、私は自分の名前を見つけ出した。


(ここか・・・。右隣は師長で左隣は・・・え!?島村さん?)


内科の新人歓迎会に、なぜか、「菱沼製薬 MR 島村様」のネームプレート。


(なんでここに島村さんが!?)


不思議に思ってもう一度会場を見回すと、いそいそと働く佐藤くんの姿が視界の中に入ってきた。


(佐藤くんもいるんだ・・・。)


私の視線に気づいたのか、目が合ってにこっと微笑んだ彼は、そのままこちらにやって来る。

「こんばんは。」

「なんで、佐藤くんたちもいるの?」


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