恋するリスク
カタカタカタ・・・。

ナースコールも鳴らず、キーボードを打つ音だけが、静かな空間に響き渡る。

睡魔と闘いながら指を動かしていると、ふいに視線を感じた気がした。

ぼーっとしながら隣を見ると、こちらを見ていた西村先生と、私はバチッと目が合った。

「藤崎さんは彼氏いるの?」

突然、声をかけられた。

いきなりの質問に、私は一瞬キョトンとする。

質問の内容を頭の中で確認してから、「いませんけど」と淡々と答える。

「へえ。じゃあオレと付き合おうよ。」

「・・・は?」

「オレ、藤崎さんドストライクなんだよね。

キレイで気が強そうなのに、男のいいなりになっちゃいそうな感じが。」

「はあ!?」

これが、初めのきっかけだった。

なんて失礼な人だろうと、怒り心頭で、その後は必要最小限の会話しか口にしなかった私。

けれど、そんなことは全く気にも留めていないらしい西村先生は、その日の勤務終了後、再び声をかけてきた。






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