恋するリスク
師長が本題に入ろうとした瞬間、ステージのライトが明るくなって、会場に百瀬先生による開会の声が響いた。

同じテーブルには、島村さんや、顔見知り程度の外来スタッフも席に着き、私は軽く会釈した。

百瀬先生の話は続く。

「えー、早速ですが、新人さんたちを紹介したいと思います。まずは医者の方から・・・。」

百瀬先生に呼ばれ、佐野教授と新人医師たちが壇上に上がる。

私は無意識に、相沢先生に視線を合わせた。

清潔感のある紺のワンピースは、彼女の知的なかわいらしさを引き立てている。

まだ何も聞いていないのに、私の胸は、ざわざわと騒ぎ出す。

男性医師2人を紹介した後で、教授は相沢先生の名前を呼んだ。

「相沢凛先生は、西村先生と同じ静岡県出身で、大学も西村先生と同じです。

実家は総合病院をなさっているそうで、後々はそちらを継がれることになっています。」

恥ずかしそうに、相沢先生が微笑む。


(総合病院の娘って・・・。

かわいくて頭もよくてお嬢様って・・・私、完全に勝ち目ないじゃない・・・。)


まだどこかで西村先生への想いが残っているのか、私は無意識に相沢先生に嫉妬した。


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