恋するリスク
まばたきすら忘れて身動きの取れない私に、師長が「大丈夫?」と声をかけてくる。

「・・・大丈夫です。」

ここで動揺する姿なんて、絶対に人に見せたくない。

何よりも・・・西村先生には、絶対に、見られたくない。


(そんなの、悔しすぎる。)


とにかく平常心でいたくて。

かき乱されている心を、誰にも悟られたくなくて。

私は何も感じていないフリを、貫き通したつもりだった。

けれど気が付けば。

ひたすらお酒を飲んで気を紛らわせていた私は、いつの間にか、完全に酔っ払い状態になっていた。
< 53 / 174 >

この作品をシェア

pagetop