恋するリスク
基本、お酒に強い私は、そうそう酔っ払うことはないけれど。

それでも一度だけ、病棟の飲み会で、どうしようもなく酔いつぶれてしまった日があったのだ。

あの日。

西村先生は、私を抱えて、家に連れて帰ってくれたんだ。

それで・・・そのことがきっかけで、私と西村先生が付き合っていることは、周りのみんなに知られてしまった。


(あの時は・・・うれしかったな。)


付き合っていることは内緒にしようと言っていた彼が、みんなの前で私を抱き上げてくれたこと。

強引で、いつも私を振り回してばかりの彼が、心配そうな顔で、私を気遣ってくれたこと。

あの時の場面を思いだし、涙が溢れそうになる。


(ダメだ・・・ここで泣いたら・・・!)


西村先生のことが、私はまだ好きなのだろうか。

それともただ、思い出の感傷に浸ってしまっただけなのだろうか。

自分でもよくわからない。

わからないけど・・・。

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