恋するリスク
佐藤くんは照れたように額をかく。

その仕草が目に入ると、私の胸はトクンと鳴った。

「ううん。・・・そんなことなら・・・。」

冷静を振舞って、私は言葉をつなぐけれど。

「じゃあ、藤崎さんが土日休みの日、今度教えてください。」

「うん・・・。」

自分のココロが、予感する。

この気持ちは、特別なものになると。

ドキドキと鳴る心臓の音。

胸の奥がぎゅっと震える。


(そうだ・・・。)


昨日、佐藤くんは言ってくれたんだ。

私のことが、好きだって。


佐藤くんへの淡い気持ちが、ゆっくりと、とろけるように流れ出す。

ずっと、そばにいてくれた。

好きだと言って、何もせず抱きしめてくれただけなのに・・・最後に、おでこにそっとキスをした。

私は、佐藤くんへの感情が、甘く傾き始めたことを、自覚せずにはいられなかった。

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