恋するリスク
「何もなかったように見えないんだけど。」

「ないってば、本当に!」

「キスぐらい、されたんじゃないの?」

「!!!ま、さか・・・。」

私はそれ以上、何も言えなくなってしまう。

自分からしたなんて、絶対に言えない。

その時、近づいてくる足音が聞こえ、私はつかまれていた腕をばっと振り払った。

話し声がする方向に目を向けると、ちょうど、角を曲がってこちらに歩いてくる相沢先生や、その同期の先生たちの姿が見えた。

「あ、おはようございます。」

相沢先生は、屈託のない笑顔で、私と西村先生に挨拶をした。

その表情に、私は胸がズキンと痛む。

「おはようございます。」

素っ気なく挨拶をすると、私は足早にその場を去った。


(・・・感じ、悪かったかな・・・。)


すぐさま消えてしまいたくて。

逃げるように、あの場を去った。

西村先生といる私を見た相沢先生は、何も感じることはなかっただろうか。

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