恋するリスク
休憩時間に入った私は、穂乃香と二人、食堂で昼食を食べていた。

「めずらしいね、食堂に行こうなんて。」

普段私たちの昼食は、朝のうちに仕出し弁当を注文しておくか、購買にパンを買いに行き、休憩室で食べることがほとんどだ。

下手をすると、休憩時間が5分、10分ということもあるので、出来るだけ病棟に近い場所で食べるのが、便利だし楽である。

けれど、なぜか今日は、「絶対、休憩時間確保するから」と、食堂に行こうと穂乃香が言って聞かなかった。

「聞きたいことがあって。」

「聞きたいこと?」

「うん。」

キョトンとする私を、穂乃香がじっと見つめる。

「・・・佐藤くんと、何かあった?」

「・・・ぐっ!」

口に入れたカレーのジャガイモが喉に詰まる。

慌てて水を流し込んで、私は呼吸を整えた。

「・・・それ、西村先生にも聞かれたよ。」

「ええ?なんで西村先生が。」

「・・・さあ・・・もう、わかんない。」

彼なりの理由はわかるけど、彼の行動は理解できない。

「振ったものの、元カノに彼氏が出来るのが嫌なタイプか。

・・・西村先生らしい。」

穂乃香は頬づえをついてため息を漏らした。

「私は新歓行かなかったけどさ。百瀬先生が言ってたの。

真緒、酔っ払って佐藤くんに送ってもらったんでしょう?」

ギクリとしつつ、冷静を振る舞う。

「うん、まあ・・・。」
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